こんにちは、みなさん!今日は、PHPの暗号化ライブラリ「libsodium」に含まれる関数、crypto_kdf_derive_from_key()
について詳しくお話しします。この関数は、鍵導出関数(KDF: Key Derivation Function)の一部であり、既存のキーから新しいキーを派生させるために使用されます。
crypto_kdf_derive_from_key() 関数とは?
crypto_kdf_derive_from_key()
関数は、マスターキーから一意の派生キーを生成するために使用されます。例えば、異なる暗号化目的のために同じマスターキーを元に複数のキーを生成する際に便利です。
この関数を使用することで、マスターキーを元に異なるサブキー(派生キー)を安全に生成でき、異なる用途に対応することが可能になります。
基本的な使い方
string sodium_crypto_kdf_derive_from_key(int $subkey_len, int $subkey_id, string $context, string $key)
- $subkey_len: 生成するサブキーの長さ(バイト単位)。通常、16, 24, 32バイトを指定します。
- $subkey_id: 派生キーを識別するためのID。このIDによって異なる派生キーを生成します。
- $context: 派生キーの使用目的を示す8バイトのコンテキスト文字列。例えば、’userkeys’ や ‘enckey ‘ など。
- $key: マスターキー。安全な方法で生成・保管されていることが前提です。
この関数は指定された長さのサブキーを生成し、それを返します。
例
- マスターキーから派生キーを生成する例
<?php
// マスターキー (事前に安全に生成されたもの)
$master_key = random_bytes(SODIUM_CRYPTO_KDF_KEYBYTES);
// 派生キーの生成
$subkey = sodium_crypto_kdf_derive_from_key(
32, // 派生キーの長さ(32バイト)
1, // サブキーID
'userkeys', // コンテキスト
$master_key // マスターキー
);
echo bin2hex($subkey) . "\n";
?>
この例では、32バイトの派生キーを生成し、サブキーIDとして 1
、コンテキストとして userkeys
を使用しています。このように、マスターキーから異なるサブキーを簡単に生成できます。
利用シーン
- 複数の用途に応じたキーの生成: 同じマスターキーを元に異なる派生キーを生成し、暗号化、署名、認証などの異なる用途に対応することができます。
- 安全なキー管理: マスターキーを直接使用するのではなく、派生キーを生成して使用することで、セキュリティが向上します。マスターキーが漏洩した場合でも、サブキーに関する情報がない限り被害を抑えられます。
注意点
- コンテキストの選定: コンテキストは、異なる用途の派生キーを識別するために使用されます。同じマスターキーを使用する場合でも、コンテキストが異なれば異なる派生キーが生成されます。コンテキストは慎重に選定してください。
- 派生キーの一意性: 派生キーは、マスターキー、サブキーID、およびコンテキストが同一であれば、同じ派生キーが生成されます。したがって、用途ごとにこれらの要素を変えることで、一意のキーを生成できます。
まとめ
crypto_kdf_derive_from_key()
関数は、セキュアな鍵管理を実現するための強力なツールです。マスターキーから複数の派生キーを生成し、異なる暗号化ニーズに対応するために、この関数を活用しましょう。
また次回お会いしましょう!Happy coding!