curl_share_init は PHP の cURL 拡張機能に含まれる関数で、複数の cURL ハンドル間でデータを共有するための共有ハンドルを初期化します。この関数を使用することで、異なる cURL セッション間で Cookie、DNS キャッシュ、SSL セッションなどの情報を共有することが可能になります。
関数のシグネチャ:
resource curl_share_init ( void )
主な特徴と使用方法:
- 機能:
- 新しい cURL 共有ハンドルを初期化します。
- 複数の cURL ハンドル間でデータを共有するための基盤を提供します。
- パラメータ:
- なし
- 戻り値:
- 成功時は cURL 共有ハンドルリソース
- 失敗時は false
- 使用例:
// 共有ハンドルを初期化
$sh = curl_share_init();
// 共有オプションを設定
curl_share_setopt($sh, CURLSHOPT_SHARE, CURL_LOCK_DATA_COOKIE);
curl_share_setopt($sh, CURLSHOPT_SHARE, CURL_LOCK_DATA_DNS);
// 複数の cURL ハンドルで共有ハンドルを使用
$ch1 = curl_init('http://example.com');
curl_setopt($ch1, CURLOPT_SHARE, $sh);
// ... ch1 の他の設定 ...
$ch2 = curl_init('http://example.org');
curl_setopt($ch2, CURLOPT_SHARE, $sh);
// ... ch2 の他の設定 ...
// cURL ハンドルを実行
curl_exec($ch1);
curl_exec($ch2);
// ハンドルをクローズ
curl_close($ch1);
curl_close($ch2);
curl_share_close($sh);
- 主な用途:
- 複数のリクエスト間で Cookie を共有し、セッション状態を維持する。
- DNS キャッシュを共有して、DNS ルックアップの回数を減らし、パフォーマンスを向上させる。
- SSL セッション情報を共有して、SSL/TLS ハンドシェイクの回数を減らす。
- 共有可能なデータ種類:
- CURL_LOCK_DATA_COOKIE: Cookie データ
- CURL_LOCK_DATA_DNS: DNS キャッシュ
- CURL_LOCK_DATA_SSL_SESSION: SSL セッションデータ
- 注意点:
- 共有ハンドルを使用する場合、マルチスレッド環境では適切な同期処理が必要になる場合があります。
- 共有ハンドルを使用した後は、必ず curl_share_close() で閉じる必要があります。
- メリット:
- パフォーマンス向上: DNS キャッシュの共有により、ルックアップ時間を短縮できます。
- 一貫性の維持: Cookie の共有により、複数のリクエスト間でセッション状態を維持できます。
- リソースの効率的使用: SSL セッション情報の共有により、ハンドシェイクの回数を減らせます。
- 関連する関数:
- curl_share_setopt(): 共有ハンドルのオプションを設定します。
- curl_share_close(): 共有ハンドルを閉じてリソースを解放します。
- エラーハンドリング:
$sh = curl_share_init();
if ($sh === false) {
die('Failed to initialize cURL share handle');
}
curl_share_init は、特に複数の関連する HTTP リクエストを効率的に処理する必要がある場合に非常に有用です。例えば、同一ドメインに対する複数のAPIリクエスト、ウェブスクレイピング、または複雑な認証フローを伴うアプリケーションなどで効果を発揮します。この関数を適切に使用することで、ネットワークリソースの使用を最適化し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。